店主より

2008.06.26レコードを磨く

 レコードを掃除すると再生する時の音がきれいに聞こえます。表面についたホコリをとりますので単純ですが、実はそればかりではないのです。目に見えない表面についたくもりまでも磨き上げるとすっきりと、霞が晴れたような音となって音が降り注いでくるようです。
 ちょうどレンズについた曇りを取りさるとはっきりと見えるようにです。

 レコードの磨き方、掃除の仕方にもいろいろあって、人それぞれのようですが、私は「レイカ」という製品や無水アルコールを薄めたものを使っています。一般の愛好家の場合、どんな方法で掃除をしてレコードをいためてしまっても勝手ですが、商売人の場合はそうはいかない。中古レコード店でベンジンやライターオイルを使って掃除している人がいますが、あれはいけません。一見ピカピカになりますが、溝を痛めてしまう。大切なレコードも台無しです。

 レコードはこうして新しく見せるのですが、古美術、骨董の世界では新しいものを古く見せてだます方法があります。これを「古色(こしょく)を付ける」といいます。色を塗ったり、はがしたり、油を塗ったり、お湯につけたり、いろいろなことをして古く見せて素人の目をあざむく。

 一方、ヨーロッパでは現代作られている家具を古くに見せるためにやはり同じようなことをしますが、はっきりと「古色を付けている」といいます。価格もそんなに高くありませんが、味わいは十分に感じられます。もちろん、あちらにも詐欺師はいっぱいいますよ。

 物欲と抑制のバランスが必要です。


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